ラケットでプレーが変わるの?
プレーが変わるラケット!
ラケットドックが探すのは
現状に合うラケットではなく
現状が変わるラケットです
現状には合わせない
普通、フィッティングという言葉から連想するのは、人の身体の各部分のように一人一人で形の異なるものについて、それにピッタリ合うものを探し出したり、ピッタリ合うように加工したりというようなことだと思います。
シューズのフィッティングなどはまさにそれですが、ラケットフィッティングの場合は、それとはちょっと異なります。
ラケットフィッティングは、現在のプレー状態にピッタリ合うものを探すのではなく、ラケットの持ち替えによってプレーが変化する様子を観察して一番良い状態になるものを探すサービスなのです。
打ち方は簡単に変わる
「ラケットの持ち替えでプレーが変化する」などという話を聞くと「そんなに簡単にプレーが変わるわけないじゃないか」と思われる方が多いと思います。
でも、テニスプレイヤーの身体の動きや打ち方は、ラケットの特性の影響を受けて結構簡単に変わります。
というより、変わらざるを得ないと言っても良いでしょう。
そのカギを握るのは、「打球をコートに入れようとするテニスプレイヤーの基本的な習性」です。
自由気ままに振り抜けないスポーツ
テニスと違ってゴルフや野球では、ボールを遠くに飛ばすことだけを目指して開放的に振り抜くことができます。
それに対して、テニスは制限された範囲内に打球を入れなければならないので、「打って飛ばすこと」より「コートに入れること」を優先させなければなりません。
ですから、テニスは基本的に、自分の都合を優先させて自由気ままに振り抜くことがしにくいスポーツなのです。
テニスプレイヤーの無意識的な習性
そして、この「打球をコートに入れること」は、テニスをする上で最も初歩的で基本的な制約であり、この制約を守るつもりのない人が一人でもコートに入るとゲームになりません。
そういう意味で、「コートに入るように打とうとする」ことは「テニスプレイヤーの基本的な習性」だと言えるでしょう。
でも、そんなことはあまりにも基本的で当たり前のことなので、いつも頭で意識しながらプレーしている人は実際にはほとんど居ないと思われます。
ですからこれは、「テニスプレイヤーの無意識的な習性」と言い換えても良いでしょう。
同じミスを繰り返さない
この無意識的な習性があるために、テニスプレイヤーはどんなラケットに持ち替えても、少し打ち慣れると、そのラケットで打った打球が相手コートに入るようになります。
テニスプレイヤーであれば誰でも、同じミスを何度も繰り返すのは絶対にイヤなので、ラケットの特性の影響でミスが出ると、次からはそうならないように打ち方が修正されるのです。
オーバーパワーのラケットで打つと打球が飛びすぎてアウトしやすいのですが、そういうラケットに持ち換えたプレイヤーが10回以上連続でアウトするのは、これまで見たことがありません。
飛びすぎるラケットを使うと、多くのプレイヤーは飛びすぎを防ぐために腕が縮んで中途半端なスイングになり、その結果、打球がコートに入るようになるわけです。
例外的にですが、ショットの結果がどうなろうと全く気にしないという場合は、ラケットの持ち替えで打ち方が変わることはないでしょう。
でもおそらく、そういう人はテニスをしていないと思われます。
少しでもミスが気になれば、本人が意識してもしなくても、打ち方は自然に変わってしまうわけです。
ですから、それをハッキリと自覚するかどうかは別にして、ほとんどのテニスプレイヤーは「コートに入るような打ち方」になっています。
打ち方はラケットによって決まる
こうした、「コートに入るような打ち方」はプレイヤー一人一人で異なり、その内容は「プレイヤーの身体特性とラケットの特性との関係」で決まります。
簡単な例ですが、「パワーのあるプレイヤー」が「良く飛ぶラケット」を使っているケースでは、飛びすぎを防ぐために抑え目に振っていたり、強い回転をかけて押さえ込むような打ち方になっていたりします。
「パワーのあるプレイヤー」という「プレイヤーの身体特性」と「良く飛ぶラケット」という「ラケットの特性」との組合せによって打ち方が制約されるわけです。
逆に、「パワーのないプレイヤー」が「飛ばないラケット」を使っているケースでは、打球が短くなるのを防ぐために打球の軌道が高くなっていたり、スピンの量を減らしたり、力んで大振りになっていたりします。
こういう場合でも、「パワーのないプレイヤー」という「プレイヤーの身体特性」に、「飛ばないラケット」ではなく「良く飛ぶラケット」という「ラケットの特性」を組合せれば、余計な力みが減って無理のない打ち方になるわけです。
プレイヤーの独断で打ち方は決められない
このように、「コートに入れるための打ち方」は「プレイヤーの身体特性とラケットの特性との関係」で決まることなので、プレイヤー側の気持ちだけで決められることではありません。
プレイヤー自身が「こうやって振ろう」といくら決断しても、その振り方でアウトやネットが続くと、すぐに元のスイングに戻ってしまいます。
これは、自分の決めた打ち方で打とうとする意志の力より、コートに入るように打とうとする「テニスプレイヤーの無意識的な習性」の力のほうが強いために、ラケットの特性に応じた打ち方になってしまうということです。
腕が縮んで大きく振り抜けなかったり、余計な力が入って力んでしまったりするのをコーチから指摘されて、自分の意志で直そうとしてもなかなか直らないということがよくあります。
そういう場合でも、素振りであれば自分の思うとおりのスイングができるはずです。
それなのに、飛んでくるボールを打つときには元の変なスイングに戻ってしまうのは、打球をコートに入れようとするからであり、素振りの場合は打球をコートに入れる必要がないので自由に振れるわけです。
「そのラケットでコートに入るように打つと、どうしてもそんな打ち方になってしまう」というような仕組みで、多くのプレイヤーの打ち方はラケットの影響を強く受けています。
「コートに入るように打とうとするテニスプレイヤーの無意識的な習性」がある限り、ラケットの影響を受けずにボールを打つことはできないわけです。
ラケットのせいだとは思わない
でも、ほとんどのプレイヤーは「自分の打ち方は自分の意志で決められる」と考えているようです。
「自分の身体の動きを自分では決められないかもしれない」などと考える方は、まず居ないでしょう。
ですから、自分の打ち方がラケットの影響を受けているとは思っていないわけで、そのため、プレー上で起きる問題は全て自分の責任だと考えるようです。
少なくとも、ショットの深さが安定しなかったり、変な打ち方になっていたり、打球の勢いが出にくかったり、ミスが多かったりする等のことについて、ラケットが原因だと考える人はあまり多くありません。
合わないラケットがテニスを難しくする
確かに、ボールを打っている主体はラケットではなくプレイヤーなので、全てのミスはプレイヤーの打ち方が悪いせいで起きるのは間違いないのですが、プレイヤーの打ち方がラケットの影響を受けていることを前提にすれば、ラケットのせいでミスが起きやすい状態になっている可能性も十分考えられるわけです。
ほとんどのプレイヤーは打球をコートに入れるために打ち方を調節しているのですが、そうした運動調節の負担の大きさもプレイヤーとラケットの関係で決まります。
プレイヤーに合うラケットが選択されていれば、余計な運動調節をしなくても済むのでプレイヤーの負担が減って実力を発揮しやすくなります。
逆に、合わないラケットを選択している場合は、コートに入れるための運動調節の負担が大きくなり、それによってボールを打つことの難易度が上がるのでミスが発生しやすくなります。
言い換えれば、ラケットが合わなければ合わないほどテニスが難しくなり、プレーのレベルが下がるということです。
ラケットを換えれば打ち方も変わる
あるプレイヤーの現在の打ち方は、その時に使っているラケットの特性の影響を強く受けているわけですが、そうであれば当然、別のラケットに持ち替えれたときには、新たなラケットの特性の影響を受けて打ち方が変化します。
ラケットドックでは、そうしたプレイヤーの動きの変化を観察して、変な調節やムダな力みのない打ち方になるラケットを探します。
別の言い方をすれば、コートに入れるための運動調節が最も少なくなるラケットを探すということです。
このように、ラケットドックで行うラケットフィッティングは、現在の打ち方に合うラケットを探すのではなく、打ち方が変化するのが前提で、最も良い変化が起きるラケットを探すサービスなのです。
自分ではわからない
「自分の打ち方がラケットの特性の影響を受けている」と自覚しているプレイヤーは、実際にはほとんど居ないのですが、ということは、ラケットの持ち替えで打ち方が変化しても、それを自覚できるプレイヤーもほとんど居ないということです。
さらに、テニスは、コート上を走り回りながら連続的に打ち続けるとても忙しいスポーツなので、なおさら、自分の動きの変化に注意を向けにくいと言えます。
自分で打ち方を変えようとして意識的に努力して、その結果として起きた変化なら自覚できるのですが、ラケットの持ち換えによる運動や打球の変化は、自分が意識的に努力したことではないため、自分では気づかないことが多いようです。
知らないうちに起きた変化は、誰かに指摘されない限り、本人が気づかないまま見過ごされてしまうわけです。
もしかすると、これまでも、自分に合うラケットに偶然出会ったことがあるのかもしれませんが、でも、それを指摘してくれる人が居なかったせいで、気づかずに素通りしてしまったということもあるでしょう。
豊富な経験が必要
ラケットの持ち替えによる無意識的な打ち方の変化は、プレーしている本人は気づきにくいので、プレーを外から観察して客観的に判断してくれる役割が必要です。
そして、その役割は誰でもいいというわけではありません。
「合わないラケットのせいでどんな弊害が生まれているのか」を的確に診断して、その弊害を解消するラケットを選び出すには豊富なフィッティング経験が必要です。
合わないラケットの弊害は、知らないうちにプレイヤーの手足を縛り、プレー中のストレスを増大させます。
ラケットの束縛から解放されて実力が発揮できるラケットを、ラケットドックで見つけてください。