振り抜けないのはラケットのせい
ラケットで変な打ち方は直る
大きく振り抜けないのは
ラケットを替えれば直る
ストロークで大きく振り抜くことができずに、フォロースルーが中途半端になっているというケースは結構よくあるようです。
そういうケースでは、大きく振り抜こうと努力することが多いのですが、その取り組みは成功しない可能性が高いでしょう。
なぜなら、振り抜けないのはラケットのせいであることが多いからです。
本人が、インパクトでラケットを止めようと努力している場合以外は、大きく振り抜けないのはラケットに原因があると考えたほうが問題の解決が早いでしょう。
それは以下のような仕組です。
●インパクト直後のヘッドスピード
フォロースルーの大きさは、インパクト直後のヘッドスピードによって決まります。
これは、陸上競技でゴールを走り抜けたときと同じです。
マラソンの場合は走る速度が遅いのでゴールしてすぐに止まりますが、100m走の場合はスピードがついているので、ゴールですぐに止まれずに惰性で遠くまで走ってしまいます。
ゴールし終わったランナーと一緒で、ストロークのフォロースルーは仕事が終わったあとの惰性なので、終わった時点の速度で惰性で移動する距離の長さが決まります。
つまり、インパクト直後のヘッドスピードが遅いときはフォロースルーは小さくなり、速いときはフォロースルーが大きくなるわけです。
●打球衝撃の強さによってヘッドスピードの減少度合いが決まる
でも、ここで注目していただきたいのは、単なるヘッドスピードと言わずに「インパクト直後の」と限定している点です。
つまり、インパクト前のヘッドスピードがどんなに早くても、インパクトの打球衝撃でヘッドスピードが大きく減速してしまうと、惰性で移動する距離は短くなってしまうわけです。
言い換えれば、フォロースルーの大きさは、インパクトでのヘッドスピードの減速度合いによって決まるということです。
インパクトでラケットはボールと衝突しますが、プレイヤーに振られて動いているラケットがボールにぶつかると、その影響でラケットの移動速度が落ちます。
ボールがピンポン玉などのようにとても軽くない限り、インパクトでの速度低下、つまり、ヘッドスピードの減少を避けることはできません。
そして、ヘッドスピードの減少度合いはインパクトで受ける抵抗の大きさ、つまり、打球衝撃の大きさによって決まります。
飛んで来るボールがスポンジボールなどであればヘッドスピードの減速は小さいのですが、バスケットボールが飛んで来たときは、打球衝撃が大きくてラケットがボールの抵抗で止まってしまうため振り抜けません。
●ラケットによって打球衝撃の強さが変わる
そして、飛んで来るのが普通のテニスボールであっても、ラケット側の条件が悪いと打球衝撃は大きくなります。
ラケット側の条件が悪いというケースは、大きく分けて二つあります。
一つは、ラケットのスイングウェイトが軽すぎるケースで、もう一つは、ストリング・セッティングがハードすぎるケースです
(「テニスラケットで変な打ち方は直せる—力んでしまう」の記事をお読みいただいた方は、この二つのケースがその記事と全く同じだということに気付かれたと思いますが、これは偶然ではなく、インパクトに力を入れれば、その影響でヘッドスピードは減速します。)
ラケットのスイングウェイトが軽いと、約60gのボールが実戦的なスピードで飛んで来たときに、ボールから受ける抵抗が大きくて、打球衝撃が強くなります。(ラケットの重さが軽いと打ち負けると思っている方が多いのですが、重さではなく、スイングウェイトが軽いと打ち負けます。)
また、ポリ系のストリングを硬く張ったりしているケース(好きでやっている方が結構多いのですが・・・)では、打球衝撃が強いので力を入れて打つようになって、スムーズに振り抜けなくなります。
打球衝撃が強いとしっかり打っている気がするのですが、しっかり打った気がするときほど実際には打ち負けているので、インパクトでヘッドスピードが大きく減速して振り抜けなくなります。
●大きく振り抜く努力は意味が無い
インパクト後に止まりかけたラケットを再加速させて(二度振りのように)振り抜く努力をしている方も居ますが、こうした努力はほとんど意味がありません。
フォロースルーが小さいのは「インパクトで起きたこと」の結果なので、対症療法的に結果だけを手直ししようとしても、大元の原因を無くさない限り同じ結果が出続けるので、問題は解決しません。
インパクト時のヘッドスピードの減速が大きいことが原因で振り抜けない状態なので、それを解消しないかぎりフォロースルーは大きくなりません。
というより、インパクト時のヘッドスピードの減速が小さければ、何もしなくても自然に大きく振り抜けるようになるので、振り抜こうと努力する必要もないわけです。
●フォロースルーはインパクトの状態を示す鏡
フォロースルーは、インパクトでボールとラケットがコンタクトした後のことなので、飛んで行くボールには影響がないように思われがちですが、インパクト後だからこそ、そのインパクトがどうであったかを示す鏡のようなものだと言えます。
ですから、フォロースルーが小さいのはインパクトでの打球衝撃が強かったということで、それは、打球にうまく力が伝わらなかったことを示しています。
さらに、そういう状態では打球に順回転がかかりきらずに直線的なスッポ抜けが出やすく、初速が速くても後半に失速する伸びのない打球になっていることがわかります。
逆に、スムーズに振り抜けているときは、伸びのある順回転の打球が飛んで行っていることを示しています。
●時間の節約
スッポ抜けのアウトが多いので回転をかけようとすると今度は極端に短くなってしまう、というような行ったり来たりの状態は、ラケットのスイングウェイトが軽すぎたり、ストリング・セッティングがハードすぎたりすることが原因であることが多いので、ショットの深さが安定しないことと、フォロースルーが中途半端になってしまうことの間には密接な関係があると考えて良いでしょう。
適切なスイングウェイトのラケットを選んで、適切なストリング・セッティングを施せば、フォロースルーが小さいと悩んでいる時間を節約できます。