壁打ちの効果的なやり方

テニス上達への近道
効果的な壁打ち練習の方法

ちょっと目には退屈でつまらなそうに見える壁打ち練習ですが、取り組み方によっては、普通の打ち合いよりずっと効率良くスキルアップできます。
ただし、獲得すべき効果をきちんと意識しないと努力が空回りしてムダになってしまうことがあります。
壁打ちの場合も、ただ漫然とボールを打っているだけでは軽いウォームアップくらいの効果しか望めませんが、やり方次第ですばらしい効果が得られます。
そのためには、壁打ちの基本的な特性を知る必要があります。
壁打ち練習のメリットとしては、通常、以下のようなことが考えられます。

1.相手が不要で自分一人でできるので、いつでも好きなときにやれる
2.反復練習の時間的な効率が良い
3.自分の打った打球の伸びと勢いを自分で把握することができる

1.相手が不要で自分一人でできるので、いつでも好きなときにやれる

テニスは相手が要るスポーツなので、普通は一人ではできませんが、壁打ちに関してだけは、場所さえ空いていれば、いつでも好きなときに始められます。
練習時間の長さも自由設定ですので、日々のわずかな空き時間でも気軽に取り組めて、頻繁に行うことができます。

2.反復練習の時間効率が良い

単位時間当たりのボールを打つ回数は、ほかの練習方法より、壁打ちが一番多いのではないでしょうか。球出しの場合は散らばっているボールを拾う時間が必要ですが、壁打ちではそれもなく、ショットの時間的な間隔も短いため、少ない時間で数多く打てます。

3.自分の打った打球の勢いを自分で把握することができる

これについては、一般にあまり意識されていないかもしれませんが、実はこれが最大のメリットです。
通常の練習では、自分の打った球を自分が打ち返すことはありませんので、自分の打球の勢いを感じ取るのは困難です。
ですから、相手が返球するときの様子を見て推測するくらいしかできないわけです。
でも、壁打ちの場合は、打球が壁に当たったときの音の大きさと、こちらに跳ね返ってくる距離によって、自分の打球の勢いを毎回正確に感じ取ることができます。

と、ここまでは常識的なことですが、ここから実戦力アップにつながる壁打ちの取り組み方について説明させていただきます。

動きを工夫しながら打てる

壁打ち練習では、飛んでくる球に勢いがなく「死んだ打球」なのであまり練習にならないという意見もあるようですが、決してそんなことはありません。
勢いのない打球だからこそ打つときの動きを工夫しながら改善できるのです。

実際のプレー中では、瞬間的な反射運動が繰り返し要求されるため、プレー中に動きを工夫するのは自殺行為で、飛んでくるボールに対する身体の反応が悪くなってミスに直結します。
生きたボールを打つ場合は、飛んでくるボールに対して正確に、かつ反射的に反応することが最優先なので、自分の都合を優先して動きを工夫している場合ではないわけです。

ですから、素振り、壁打ち、球出し等の易しくできる環境で動きを工夫して良い動きを反復して身体に覚え込ませて、実際のプレー中は動きの工夫は全て忘れて無我夢中で打つ、というように、はっきり区分けして取り組んだほうが無用なミスを防ぐことができます。

少ない運動負荷で強い打球

動きを工夫する際の基本的なテーマは「少ない運動負荷で強い打球」です。
テニスは長時間に及ぶスポーツですので、1回のショットで大きなパワーを使っていては、何百回も同じペースで打ち続けることができません。
かといって、使うパワーをセーブするだけでは強いショットにならず、勢いのない打球では相手から打ち込まれるだけです。
ですから、「運動負荷の軽減」と「打球のパワーアップ」を両方同時に実現しないと、戦力アップは実現しないわけです。

そして、運動負荷の軽減と打球のパワーアップを実現するために必要なのは、伝達効率の向上です。
プレイヤーが発生させた運動エネルギーが全て打球に伝われば「少ない運動負荷で強い打球」が実現します。
力を使った強い運動でも、伝わりが悪ければエネルギーがムダに逃げてしまうので、打球の勢いは上がりません。アクションだけがハードでも打球はイージーという状態です。

全身運動でラケットを振る

ラケットを振るというのは、直接的には腕の運動ですが、腕だけで振っているとすぐに疲れてしまう上に、打球の威力も出ませんので、全身運動でラケットを振ることが必要です。

全身運動でラケットを振る際の、動作の起点は下半身です。
足からスイングをスタートさせて、身体の各部分の運動をうまくつなげてラケットを振れば、どこも力むことなく速いスイングスピード(=打球のパワーの源泉)が得られます。
腕でラケットを振るというより、身体全体の動きによって「ラケットが振られてしまう」というイメージです。

良い感じを探す

ただ、ここで大切なのは、「こういう動きで打とう」と最初から決めてしまわずに、「良い感じ」を探すという姿勢です。
下半身から始まる運動連鎖をうまく使って、打球へのパワー伝達の効率を上げるための「具体的な方法」にはかなり個人差があるため、いろいろな方法を試しながら、自分なりの動きを探したほうが良いわけです。
打つときの体軸回転と体重移動との組み合わせ方や、打点の位置、姿勢の高さ等も人によって違うので、上級者の打ち方が人それぞれで異なるのは、それぞれが自分固有の打ち方を見つけているからです。

ですから、そこで見習うべきは「運動効率の良さ」であって、具体的な動きやフォームではないわけです。
上級者のフォームをまねてみても、自分に合わなければギクシャクするだけです。

打球の勢いは音と距離で判断する

プレイヤーの運動がうまく連鎖して打球に伝わったときは打球の勢いが増します。
それは打球が壁にぶつかったときの音の大きさと跳ね返ってくる距離で判断することができます。

ここで大切なのは、打ったときの手応えで判断しないということです。
身体に伝わる手応えではなく、壁に当たった音と距離で判断することが大事なのです。

というのも、多くのプレイヤーは、打ったときの手応えが大きいと強いショットを打ったと誤解する傾向があるのですが、壁打ちで確認すれば、それが間違いであることがすぐに分かります。
手応えが小さく、スルッと振り抜けたときに大きな音がして、跳ね返ってくる打球の勢いも強いのです。
インパクトの手応えは小さいほうが伝達効率が良いという基本的なことが、壁打ちでは実感できるのです。
これが壁打ち練習の特有のメリットです。

強い手応えの時は、力を使ってしっかり打った感じがするのですが、その時の衝突音は小さく、はね返りが意外に弱く失速気味だということが分かるでしょう。
ハードヒットしているつもりなのに打球が軽く、相手に簡単に打ち返されるのはこういう状態です。

壁打ちだから分かる「質の良いインパクト」

こうしたことが、コート上で普通に打ち合いをしているときは分かりにくいのです。
壁打ちの場合は、自分の打球の勢いを毎回確認できるので、エネルギー伝達が効率的な「質の良いインパクト」と、非効率で衝撃の強い「質の悪いインパクト」の違いを簡単に識別することができます。
自分の打球に伸びがあるときは、そのボールが跳ね返ってきたときにも伸びてくるので差し込まれ気味になるでしょう。

通常の打ち合いでは、自分の打球の勢いは自分では分かりにくいので、身体に直接伝わる「手応えの強さ」で判断してしまいやすく、そうなると、強い手応えを求めて力を入れて打とうとし始めます。
その結果、打球の勢いが上がらずに運動効率が低下していくという悪循環に陥りやすくなります。

打球の衝突音と跳ね返ってくる距離を観察しながら、力みのないスムーズな全身運動でスルッと振り抜ける打ち方を探してみてください。

壁打ちはとても難しい

退屈そうに見える壁打ちも、実際にやってみると意外に難しいということが分かると思います。
コート上のストローク練習で何とかラリーが続けられるというレベルでは、壁打ちで続けて打つのは困難です。

その理由は、打つコースと軌道の高さ、それにプラスして打球の勢いの3つが毎回揃っていないと同じところに跳ね返ってこないので、安定して打ち続けることができなくなるからです。

コースと高さを毎回揃えることも簡単ではないのですが、それ以上に難しいのが、打球の勢いを揃えることです。
先述のような方法で、伝達効率の良い「伝わる打ち方」を探し出したとしても、それを毎回同じように続けないと連続して打つことができません。
「少ない運動負荷で強い打球」が打ち出せる動きを見つけたら、反復練習でそれを身体に覚えさせることが必要なのです。

頭で考えながらやる「工夫した動き」は実際のゲーム中には使えないので、繰り返し練習で身体で覚えて、頭を使わなくて済むようにしないと実用性がありません。
そのためには反復練習が必要なのですが、打球の勢いが安定しなければ続けて打つことができないので、反復練習そのものが難しいわけです。

難しいと思って取り組む

簡単そうに見えることがうまくできないと、イライラするのが普通です。壁打ちなどという「つまらなそうな練習」が、やってみると意外に続かないわけで、すぐにイヤになってしまうかも知れません。
でも、難しいということを理解して、その難しさを克服できれば実戦力がアップすることを信じて取り組めば、クリアする方法はあります。

最初は連続3回とかに目標のハードルを低くして、続けてできたらそこでやめて、それを10セットとかクリアできたら、徐々にハードルを上げて連続5~10回にする等の方法で取り組むと良いでしょう。

ポイントは、短期目標のクリアでやめるということです。
続く限りやろうとすれば、いつも失敗で終わるので達成感が得られません。
達成してやめるということを繰り返したほうが気持ちが良いわけです。

壁との距離も短いほうが簡単ですので、短い距離で課題をクリアしたら、少し距離を伸ばすということを繰り返して下さい。

壁打ちの到達目標

壁打ちの難易度は、プレイヤーの位置が壁から遠ざかるほど上がります。
ですから、目指す目標は、壁からの距離をできるだけ長くして打ち続けることです。

壁打ちコートの広さも場所によってそれぞれですので、設備上の制限はありますが、可能な限り遠い位置で打ち続けることを目標にして取り組んでみてください。

壁に当たる打球の高さを上げることで遠い位置から打ち続けることも可能で、それはそれで難しいのですが、打球の勢いを上げるという目的には合いませんので、できれば、壁に描いてあるネットの上50cm~1mの間に当てることを目指してください。

以上のことができたときに得られるものは、以下のとおりです。
1.伸びと勢いの安定性
2.コントロールの安定性
3.早いリカバリー
4.高い運動効率

1.勢いの安定性

遠い距離からの壁打ちでは、少しでも打球に勢いがなければ元の位置までボールが跳ね返ってきません。
打球の勢いにバラツキがあれば、すぐに中断してしまうわけです。
遠い距離から打ち続けられるということは、勢いのある打球を継続的に打ち続けられる安定した動きが身に付いたということです。

2.コントロールの安定性

打球の勢いが安定しても、打球が壁に当たるポイントが安定しないと、続けて打てるところにはね返ってきません。
壁打ちでは壁に当たるポイントが少しでもずれると、入射角と反射角の関係で、はね返りのコースのずれが大きくなります。
連続して打ち続けられるということは、勢いと同時にコントロールも安定しているということです。

打球の勢いを上げようとするとコントロールがばらつくという場合は、強い打球を打とうとしてムダな力が入っているために身体がぐらついているわけですが、そういう場合は、まだその距離が無理なので、もっと近い距離で安定するまで続けてください。

3.早いリカバリー

壁打ちでのショットの時間的な間隔は、通常のラリーの半分くらいです。ですから、とても忙しいわけです。
そういう忙しい中で連続して勢いのある打球が打てているということは、打った直後に身体のバランスが取れていて、すぐに次のショットが打てる状態になっているということです。

力を入れて強い打球を打っているときは、打った後にバランスが崩れやすく、身体に力みも残っていて、すぐに次の態勢に入ることができません。
実戦で、そんな状態で相手にボレーされたら、きちんと打ち返すことができないわけです。
壁打ちで次のショットに動きが間に合わない時は、その前のショットでムダに力んでいたと考えてください。
質の良いインパクトがまだ獲得できていないのです。

力まなければバランスも崩れることがないのでリカバリーが早く、次のショットまでに時間的な余裕が持てるわけで、忙しくてバタバタしている状態とは戦力的に大きな違いが生まれます。

※インパクトでどうしても腕に力が入ってしまうという場合は、ラケットのスイングウェイトが軽すぎるか、ガット張りがハードすぎることを疑ってみてください。

Click!⇒ガットが硬いと「強い手応え=強いショット」だと誤解する
スイングの力がインパクトの衝撃で逃げることなく100%ボールに伝われば、力まずに強い打球が打てます。「伝達効率の向上」というテーマで、少ない力で強い打球を生み出す練習をすれば運動効率が良くなって「イージーアクションでハードボール」が可能になります…

Click!⇒適切なスイングウェイトについて
同じモデルでもスイングウェイトの数値は1本1本の個体差が大きく、面の安定性やボールの飛びなどラケットの基本性能を左右します。この数値は、重量やバランスポイントなどのように静止状態の計測では測れないので、専用の機械で計測する必要があります…

Click!⇒ガット張りが不適切になる理由
テニスワンでは、これまで10,000名以上のプレイヤーのラケットとプレー状態をチェックしてきましたが、必要以上に張りが硬すぎるケースがとても多いことに驚いています。これは現実離れした「推奨テンション」の数値の弊害で、硬すぎると回転がかからずスッポ抜けのアウトが増えます…

4.高い運動効率

打つことで身体がぐらつくような強い運動で打っていると、短い間隔での繰り返しに耐えられず、また、打球の勢いも出にくいので、壁に当たったボールが遠くまではね返りません。
遠い距離から打ち続けられるということは、少ない運動負荷で強い打球という目的が達成できたということなのです。

少ない運動負荷=リラックスした運動ということですが、そういう状態で打球の勢いがあると、相手プレイヤーはそれを「伸び」とか「重さ」として受け取ります。

そして、「伸び」とか「重さ」という言葉の前に付くのは、「予想以上の」という形容詞です。リラックスした動きからは、そういう打球が飛んで来ることを相手は予想しないのです。

対戦相手にとっては、力の抜けたスイングで伸びのある打球が飛んで来るのは、ハードなアクションで打たれるよりイヤなものです。
相手のアクションがハードであれば、バテて崩れるのを待っていれば良いのですが、リラックスした動きは待っていても崩れそうもないので、こちらから仕掛けないとどうにもならないというプレッシャーがかかるからです。

質の良いインパクトの獲得には壁打ち練習が効果的

ということで、インパクトの質が良いかどうかは、運動効率の良し悪しに直結して、疲労の蓄積とショットの威力を大きく左右するのですが、質の良いインパクトを獲得するには、自分の打球の勢いが体感できる壁打ち練習がとても効果的なのです。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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