合っているか自分ではわからない
ラケットが合っているかどうか
自分ではわからない!?
プレーしているときプレイヤーの注意はボールに集中します。
テニスでは、相手が打ったボールをこちらが打ち返すまでに使える時間は1~2秒しかなく、さらに、どちらかが失敗するまでそれを連続して繰り返さなければなりません。
そのため、プレー中はボールに対する高い集中状態を常に維持することが必要です。
何かに集中するということは、それ以外のものに注意が向かなくなることです。
カメラで何かにズームインすると、それ以外のものが視界に入らなくなってしまうのと同じで、ボールに集中しきっている状態ではスイングがどうかとか、プレーがどうなっているかなどと自分でチェックしている余裕はないのです。
ラケットを持ち替えると、その性能に応じてスイングや身体の動き、ボールの状態などに変化が現れますが、ほとんどのケースでプレイヤー自身がそれに気づくことはありません。
多くの場合、プレー中に分かるのは打球感くらいです。
これは身体に直接伝わる刺激なので注意を向けなくても把握できるからです。
TENNIS-ONEでは、BTLの谷口コーチと一緒にやっているラケットドックで、これまで10,000名以上のプレイヤーを見てきましたが、ほんの十数分間のフィッティングでほとんどの方のプレーが改善しました。
使い慣れた自分のラケットより、ほんの数分使っただけのラケットでプレーが良くなったということは、それまで使ってきたラケットが、いかに合っていなかったかということです。何でこんなことになるのでしょうか。
ラケットを選ぶときに商品の情報やブランドイメージ、選手のイメージなどで選んでしまい、「身体に合わせて選ぶ」という視点がなかったこともその原因の一つですが、試打した上で選んだという方でも同じような状態です。
それは、打球感などの自分で感じ取ることのできる「限られた情報」だけで選んでしまうからです。
スイング、フットワーク、姿勢などの変化や打球の状態などをプレイヤーの横で客観的に観察すれば、プレイヤー自身が感じ取れるものより、はるかに多くの判断材料が手に入ります。
ウェアやシューズなど、身体に合ったものを選ぶためには、実際に試してみるのが一番です。
ラケットについてもそうなのですが、問題は、試している本人がプレー中は正確に判断できないということです。
ですから、正確なラケット選びに欠かせないのは「見てもらう」ことです。
誰かに「見てもらう」ことが「身体に合うラケット選び」のスタートラインです。
「ラケットが合っているかどうか自分では判断できない」という認識は、テニスプレイヤーのほとんどが持っていないでしょう。
それが合わないラケットを使い続ける最大の原因だと思います。
これを裏返せば、多くのプレイヤーは適切なラケットを選択するだけで、プレーが改善される余地があるということです。