試打して選ぶときの注意点
テニスラケットを
試打して選ぶときの注意点
【質問】
試打したときのラケットの選び方について
ラケットを試打したときに、打った感じがそれぞれ違うことは分かるのですが、自分にどれが合うのか分かりません。どうやって選べば良いのでしょうか。
また、試打ラケットのストリングが良い状態でないことが多いのですが、そういうときには、フレームの性能をどのように判断すれば良いのでしょうか。
【回答】
試打したときの合うラケットの見つけ方は、意外にも簡単です。
「一番打球感が無かったもの」を選べばいいのです。
別な言葉では、「インパクトの感覚が一番軽かったもの」です。
インパクトで生まれる打球感(打球衝撃)は、プレイヤー側の運動がうまく打球に伝わらなかったときの「出戻りエネルギー」ですので、それが大きければ大きいほど、プレイヤーの苦労の割に打球の勢いが出ないということになります。
ですから、「このラケットの打球感が大好き!」という場合は、ほとんど合っていないということです。
また、「自分の感じたことを一切無視して相手の感想を聞く」という方法も、試打の際には有効です。
自分が良い感じで打てたかどうかより、相手が打ち返しにくい打球が出ていたかどうかのほうが、勝つことを目指すのであれば、ずっと大事な情報だからです。
このように、合うラケットの見分け方は意外に簡単なのですが、もう一つのご質問の「ストリングの状態がダメな場合」の見分け方は簡単ではありません。
ラケットの試打フィーリングやプレー時のパフォーマンスを決定する要素は以下の3つです。
「モデル自体の性能」
「スイングウェイト」
「ストリング・セッティング」
この3つの要素はどれも同じように重要で、この中のどれか一つでもダメなら、トータルのパフォーマンスはダメになります。
打ちにくい仕上がりの原因は3つ考えられるわけで、モデル自体の性能が合わないのか、スイングウェイトが適切でないのか、ストリング・セッティングが適切でないのか、という3つのうちのどれか一つにでも該当すればアウトになるわけです。
ですから、これを裏返せば、良い感じで打てたときの判断は簡単です。
「モデル自体の性能」以外の2つの要素も適切であったということです。
そして、そのモデルを購入するときの注意点は、試打したラケットのスイングウェイトとストリング・セッティングをできるだけ正確にコピーすることです。
でないと、実際に買って打ったら別もの、という結果になります。
その逆に、良い感じで打てないという場合に、何がいけないのかを見つけ出すのはとても難しく、豊富な試打経験が必要です。
スイングウェイトが不適切な場合、そういうラケットを数値を承知の上で打った経験があって、その時にどんなフィーリングが生まれるかを知っていなければ、このラケットの変な感じはスイングウェイトが軽いせいだとは判断できないでしょう。
また、ストリング・セッティングがダメな場合も、その同じモデルを良い状態で打った経験がなければ、このラケットはストリング・セッティングがダメだという判断が下せません。
ですから、試打経験豊富な方でも、打ったことのないモデルについて、ストリング・セッティングがダメな状態で、このモデルは本来であればこういうパフォーマンスのはずだと推測するのはとても難しいといえます。
ストリングの張っていないフレームではボールを打つことができず、同様に、ストリング単体でボールを打つこともできません。ですから、フレームとストリングをそれぞれ独立でテストすることは不可能です。
そのため、フレームを正確にテストするには、テストするフレーム全てが同じストリングを同じ面圧に張り上げられていることが必要で、同様に、ストリングのテストをする際には、同一モデルのフレームでスイングウェイトを揃えたものがストリングの数だけ必要です。
違うフレームに張られた異なるストリングを打ち比べても、フレームの比較にもストリングの比較にもならないわけで、その困難さが、ラケットやストリングの性能についての正確な情報が少ないことの原因だと思われます。