ガット張りを使い分ける方法

同じラケットを異なる硬さ
使い分けることをおすすめします

気温がキーポイント

「同じラケットが2本必要」などと言われると、「自分はガットが切れないから要らない」と思われる方も多いでしょう。でも、2本目のラケットはガットが切れたときの予備ではなく、日々、使い比べるために必要なのです。

プレー時の気温はボールの飛びに大きな影響があります。
寒いと飛びが悪くなって打球衝撃が強くなり、暑いと飛びすぎてスッポ抜けが増えます。
前日と5~10℃も気温が変わることは別に珍しくありませんが、そういうときに前日と同じセッティングでは、ボールの飛びが前日とは違うので、日によっての調子の波が大きくなります。

また、春や秋に多いのですが、ある時から急にストロークの調子が悪くなったりすることがありますが、これは気温変化の影響だと考えられます。
気温がだんだんと変化していく季節は、それまで合っていたセッティングが、ある時期から急に合わなくなることがよくあるのです。
そんな時は、変化した環境に合ったガット張りのラケットを使えば余計なスイング調節をしなくて済むのですが、そういうラケットがないと「以前は良かったけれど、最近はずっと調子が悪いなぁ」ということになってしまいます。

ですから、調子が良い日と悪い日はプレイヤーの問題ではなく、ガット張りとプレー環境の相性によって生まれることが意外に多いことを知っておけば、ムダな苦労が減るでしょう。

比べなければ分からない

使用によってストリングの性能は劣化します。飛びが鈍くなって、打球の勢いが出にくくなるわけですが、そういうときにラケットが1本しか無いと、ラケットが原因だと考えずに「最近は調子が悪くて勝てない」と思ってしまうことがあります。
比べるものがないとラケットによるプレー上の不利益を感じ取りにくいわけです。

プレーの改善を目指して張りの硬さを変えたいと思っても、1本だと硬くしたほうが良いのか、柔らかくしたほうが良いのかの判断がしにくいでしょう。
ガットの種類を変えたときも、変えて良かったのかどうかは打ち比べないとわかりません。
2本目のラケットは使い比べて適切な状態を探すために必要なのです。

複数本使い比べるのがベスト

合うラケットを合う状態で使い続けるためには、異なる硬さに張り上げたラケットを複数本使い比べるのがベストです。
プレー環境の変化に合わせて、スイングの調節感が一番少なくて気を遣わずに打てるものを選べば良いわけです。
気温の変化やコートの違いによって、合うラケットが変わることを体感していれば、ラケットのせいで調子が落ちたときにすぐに気付くようになり、本当の調子の波は実はそれほど大きくないということが分かるでしょう。

トッププロの常識

トッププロが試合コートに入る際には、5~10本くらいラケットを持ち込みますが、これはもちろん、全部が切れたときの予備ではありません。
複数本のラケットは3種類くらいの硬さに分けられているケースが多く、プレーしながらそのときにしっくり来るものを選ぶわけです。
錦織選手の場合は、試合が始まってからコート上で張替をオーダーするケースが珍しくありませんが、これは、事前の準備だけではコート上の環境変化に合わせられないからです。
それくらいに、ガット張りは勝ちやすさ、ポイントの取りやすさに影響します。
自分はプロじゃないからそんな必要はないと考える方が多いかもしれませんが、逆に言えば、高度な技術を持ったトッププロでさえ、プレーの基盤であるガット張りを重視しているのに、それよりプレー能力が低い一般プレイヤーがガット張りを軽視していたら、思いどおりのプレーができるはずはないと言えます。

打球感の軽いものを選ぶ

複数のセッティングを使い分ける基準は、打ったときにボールが軽く感じて衝撃感が一番小さいものを選ぶということです。
そのときのプレー環境にフィットする硬さより硬い場合はゴツンという「硬い手応え」が生まれ、柔らかすぎる場合はズシンという「重さ」が生まれます。その両方を感じない中間の、アッサリした軽い打球感のラケットがその時にあったセッティングということです。

テニスのガット張りの理想はズバリ「打球感を無くすこと」
ガット張りの理想は「打球感を無くすこと」で、「打球衝撃を最小限にするセッティング」が実現すれば、インパクトでヘッドが走る状態になって「伸びて沈む打球」が手に入ります。適切なガット張りは戦力を左右する大切な要素で、打球の伸びでゲーム展開は変わります…

合うセッティングは日替わり

プレー環境の変化だけでなく疲労蓄積など、体調の変化によっても感じ方が変わります。
「この時期はこちらがベスト」というふうに決めつけずに日々チェックすると、意外にも合うセッティングが日替わりでコロコロと変わることが分かるでしょう。

ストリングの硬さが合わないと、適切な深さに打とうとするときにスイング調節が生まれます。打つときにちょっと力んだり、腕が縮んだりというようなことが知らないうちに始まってしまうのです。打つときに変な力が入ってしまうのはストリングの硬さが合っていないわけです。
変な調節感がなく開放的に振り抜けているときに打球に勢いが生まれ、打球も伸びます。

しっかり打ったという自覚はないのに相手がミスしたり、差し込まれてコントロールが甘くなったりするのは、こちらの打球に伸びがあるからで、ガット張りが合っているときのメリットです。

使い分けの基本パターン

基本的に、ボールが飛ぶときは硬いほう、飛ばないときは柔らかいほうです。例えば、練習初めは柔らかいほう、暖まったら硬いほう、ハードコートでは硬いほう、オムニ等の遅いコートでは柔らかいほう、追い風では硬いほう、向かい風では柔らかいほうということです。表にするとこんな感じです。

◆気温  ⇒高い  ⇒飛ぶ ⇒硬いほうが良い [低い場合は逆]
◆気圧  ⇒低い(高原)  ⇒かなり飛ぶ ⇒かなり硬いほうが良い
◆コート ⇒ハード ⇒球足が速い ⇒飛ぶ ⇒硬いほうが良い
⇒オムニ・クレー ⇒遅い  ⇒飛ばない ⇒柔らかいほうが良い
◆風   ⇒追い風 ⇒飛ぶ ⇒硬いほうが良い [向かい風は逆]
◆疲労度 ⇒バテた ⇒体の力が出ない ⇒飛ばない ⇒柔らかいほうが良い
◆体調  力の出る日と出ない日がある ⇒体調が悪い日は柔らかいほう

まずは試してみてください

調子の悪い日に硬さの違うラケットに持ち替えたら、変な力が抜けて急にショットが安定し始める—–ということを体験しないと、セッティングの異なるラケットを持つメリットは、なかなか理解されないと思います。でも、それを一度でも体験すると、ストリングできちんと対応すれば、調子の波がそれほど大きくないことが分かるでしょう。
プレー環境の変化でラケットが合わなくなった時に、自分のせいだと思ってスイングをいろいろ修正したことが原因で、本格的に調子が悪くなるというケースもあります。

プレー条件の変化 ⇒使うラケットは変えない ⇒条件変化の影響で調子が変わる
プレー条件の変化 ⇒変化に合わせてセッティングを変える ⇒調子の波が小さい

まずは、同じラケットでスイングウェイトの近いものを用意して、面圧を55と52、52と50というような組み合わせで使い比べてみられてはいかがでしょうか。
合うラケットを使っていると、ストリング・セッティングのズレが敏感に分かるようになります。そうすると、合わないセッティングによるミスを自分のせいだと考えなくなるので、余計なストレスも減るでしょう。

ストリングをきちんとメンテナンスして快適な状態をキープしてください。

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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