適切な硬さを見つけるコツ/その1

テニスのガット張りの
適切な硬さを見つけるコツ/その1

適切な硬さを見つけるための判断基準として私どもがお勧めするチェック方法はとてもシンプルで「インパクトの手応えが一番軽くなること」です。適性テンションを鵜呑みにして、その下限に近ければ柔らかく張り上がると思ってしまうのは完全な誤解です。

テンションは目安にならない

テンションでは見つけられない

テンション指定は硬さの指定にならない」の記事で説明したように、「何ポンド」というテンションの数値は、あくまで「作業時の設定値」であって「作業の結果」を示すものではないため、ストリングの硬さを論じる際の材料にはなりません。

Click!⇒テニスのガット張り/テンション指定は硬さの指定にならない
ガット張りの指定をする際に多く使われる「何ポンド」というテンションは「重さ」の数値なので「硬さ」の指定にはなりません。どんな硬さになったのかという「ガット面の硬さ(=面圧)」を知るには、張上後に測定すること必要で、それには専用の測定機械が必要です …

テンションの数値だけ分かっても、「作業の結果=張り上がりの硬さ(面圧)」そのものが分からなければ、適切な「張り上がりの硬さ」を論じることができないからです。

そのため、テンションの数値を根拠にして「適切な硬さ」を見つけるのは無理なのです。
というのも、仮に、あるショップでベストなストリング・セッティングが見つかっても、別のショップで同じ張力で指定した場合、同じ硬さに張り上がる可能性は低いからです。

いつも同じショップに限定して張り替え続ける場合は、テンションの数値を上げ下げして適切な硬さを探すのは有効ですが、その場合でも、テンションの数値に先入観を持って、それがいくつだから良い悪いと考えるのではなく、良い状態が見つかったときの張力は結果的にいくつだったのかというように、結果重視で考えたほうが正解に近付きやすいでしょう。

適正テンション表示も適正ではない

よくあるのは、フレームに書いてある適性テンションの範囲を基準にして、下限に近ければ柔らかめに張り上がると思ってしまうケースですが、これは完全な誤解です。この数値にはほとんど意味がないとお考えいただいて良いでしょう。

Click!⇒「適正テンション」の数値範囲が適切ではない
ラケットメーカーが記載している「推奨テンション」を信じてしまう方が多いのですが、実際に、この数値は全然適切ではありません。そのため、推奨テンション範囲の下限に近い数値で張っても硬すぎる張り上がりになってしまうことが多く、そのせいでテニスエルボーになってしまうケースもあるので軽視できない問題なのです。…

現実的に、適正範囲の下限で張っても、私どもが「通常の使用に適さない」と判断するほど硬く張り上がるケースもあれば、そうでないケースもあります。
現状では、前者のケースが増えているようで、そのため、適正範囲の下限より低い数値で張力を指定する方が増加していますが、そういうケースであっても、必ずしも柔らかく張り上がるとは限りません。

もちろん、適正テンション範囲の中間値で張れば適切ということでもありません。そうした指定では、硬すぎる張り上がりになる可能性が現実的には高いでしょう。
張上の技術内容はさまざまなので、必ずそうなると断言はできませんが「確率的にはそういう可能性が高い」ということです。

適切な硬さの判断基準

適切な硬さを判断するには

ということで、適切な硬さを得るためには、最終的にはプレイヤー自身が打って判断するしかないので、文字どおり、手探りの状態になるわけです。

さらに、実際に打ってみてもどういう基準で判断するのかがハッキリしていない場合は、自信のある判断がしにくいので、コートで打ってみても「まぁ、こんなものかな」というようなスッキリしない結果になることが多いようです。

そのため、「こういう判断基準でチェックすれば良い」という目安が欲しいのですが、現状では広く認知された明確な基準というものがないため、「プレイヤーの好み」に任されてしまっている状態だと言えます。

「硬い感触が好きな方は硬く張れば良いし、柔らかい張り上がりが好きな方は柔らかめに張れば良い」というのが現状です。
プレイヤーが打球感を楽しむためにテニスをしているのであれば、それでも良いと思うのですが、そうではなく、勝つことが目的であれば、勝ちやすさにつながるストリング・セッティングを探したほうが合理的だと思われます。

手応えが小さいもの

そういう視点に立って、適切な硬さを見つけるための判断基準として、私どもがお勧めするチェック方法はとてもシンプルです。

それは、「インパクトの手応えが一番軽くなるものを選べば良い」ということです。
「打った」という感じがあまりしないものが良いのです。

同一条件のフレーム(同じモデルでスイングウェイトの数値が同じもの)を複数本用意して、異なる硬さに張り上げて打ち比べたときに、「手応えが一番軽くなるもの」、言い換えれば、「打球衝撃が一番小さいもの」を選べば良いということです。

同じフレームが複数ない場合は、「張り替える前に比べて」というような比較になってしまうため、同時に打ち比べるより正確ではないのですが、それでも、張り替えて手応えが強くなったら、「外れた」と判断したほうが良いでしょう。

あるいは、張り替えていないラケットが、ある時期から急に手応えが強くなったら、その頃から合わなくなったと判断できます。(※詳しくは、「その2」を参照ください)

そうした判断の理由は以下のとおりです。

打球衝撃=伝達ロス

インパクト時に発生する「手応え=衝撃」は、それ自体がエネルギー消費の一種ですので、衝撃が大きくなればなるほど、そこで失われるエネルギー量が大きくなるため、ボールを飛ばすことに向けられるエネルギーが減ることになります。

簡単に言えば、「手応え=打球衝撃」がゼロであれば「スイングパワー」=「打球の勢い」なのですが、インパクトで「打球衝撃」が生まれると、「スイングパワー」-「打球衝撃」=「打球の勢い」ということになるため、スイングパワーが一定の場合は、打球衝撃が大きくなればなるほど打球の勢いが弱まることになります。

手応えが大きいほど打球の威力は低下するのです。

別な見方をすると、スイングパワーがうまく打球に伝わらなかった場合は、伝わらなかった分だけ、そのエネルギーが打球衝撃としてプレイヤー側に戻ってきてしまうということです。
「打球衝撃=出戻りエネルギー=伝達ロス」なのです。

衝撃があったら飛びはボテボテ

こうしたことは、ゴルフや野球をやったことのある方にとっては当然すぎて、わざわざ言うまでもないくらいのことで、成功したボールインパクトでは打球感(=打球衝撃)は小さくなるのが普通です。

ゴルフでは、ドライバーで打ったときにまるでボールが無かったように感じたときが、一番飛距離が出るわけです。
野球でも同様ですが、インパクトで「ゴツン」と感じたら失敗スイングで、飛びはボテボテということです。

道具を使うスポーツでなくても、サッカーやボクシング、空手などでも同様で、インパクトで発生する衝撃は「伝達ロス」なので、それが大きいほど勢いよくボールが飛ばなかったり、相手に与えるダメージが減ったりします。
空手の瓦割りなどで手応えを感じたら、悲劇と言うしかありません。瓦は割れずに、衝撃による痛みだけが残ります。

テニスも例外ではない

テニスの場合も例外ではなく、プレイヤー側のラケットスイングで作られたエネルギーが、余すところなく全て打球に伝わったときには、打球衝撃は限りなく小さくなります。
ですから、プレイヤーの運動を無駄なく打球に伝えるために、インパクトの手応えは小さければ小さいほど良いわけで、「打った」という感じがしないほうが打球の勢いは出るのです。

柔らかくてもダメ

張りが硬いと衝撃が強くなるというのは比較的簡単にイメージしやすいので、「手応えが小さいほうが良い」と聞くと、「それでは、柔らかければ柔らかいほど良いのでは」と思ってしまいそうですが、そんなことはありません。

伝達効率の良い適切な硬さから外れた柔らかい張り上がりでは、手応えに「重さ」が出てきます。
硬すぎる場合の「ガツン」という鋭い衝撃感とは違って、インパクトでボールを受け取ってしまったような「ズシン」という重い手応えが出てきます。


硬すぎても柔らかすぎても打球への力の伝わりが悪くなる
ので、その影響で手応えが出てきてしまいます。硬いほうが良いとか、柔らかいほうが良いとかではなく、その中間の手応えが最も小さくなるポイントが「適切な硬さ」ということです。

⇒その2に続く

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ガット張りの理想は「打球感を無くすこと」です。「打球衝撃が最小限になるセッティング」が実現すれば、インパクトでヘッドが走る状態になって「伸びて沈む打球」が手に入ります。ガット張りは戦力を左右する大切な要素であり、打球の伸びが勝敗に直結します…

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テニスワンは、快適にプレーできるガット張りの硬さの範囲を10,000回以上の実証実験によって把握してきました。故障の危険のある「推奨テンション」の呪縛から早く逃れて、「伸びて沈む打球」を手に入れるために快適に振り抜ける硬さを目指してください…

知らないと損
ガットについての情報

ガット張りについての40件以上の記事が以下の4つのジャンルに分類されています。

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実際にボールを打つのはガットで、フレームはガットのアクションを受け取るだけの存在なので、ラケットのパフォーマンスの主役はガットです。なので、ガット張りを軽視すると、気づかないうちにプレー上で損をすることになります。このコーナーでは、そうした不利益の具体例を紹介しています。

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テニスガットについての記事を集めたコーナーです。ガットの基本知識や素材や太さの選び方などの解説と、スピンのかけやすさや打球フィーリングについての記事を紹介しています。ガットについては小さな誤解で大きな損をすることがあるので正しい情報を収集してください。

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ガット張りの硬さについてのアドバイスを集めたコーナー。ガット張りについては未開拓の荒野のような状態で、多くのプレイヤーがいまだに「推奨テンションの呪縛」にとらわれています。そのため「快適なプレー」という目的地にたどり着くためのルートを見つけるのは容易ではありません。正しい情報を得て迷路から抜け出してください。

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ガットについてもっと詳しく知りたい方のための記事を集めたコーナーです。適切な硬さを見つけるための情報と不適切な張上の弊害等についての記事があります。「好きな打球感のセッティング」というワナにハマると戦力低下という迷路から抜け出せなくなります。

◆ガット張りを工夫しても「適切なガット張り」は見つからない
ガット張りについての関心が高い方には残念なことですが、でもこれは、まぎれも無い事実です。
その事実とは、「ガット張りだけでは適切なガット張りを見つけられない」ということで、ガット張りについてどんなに深掘りしても、それだけでは快適なセッティングを見つけることはできません。
なぜなら、ガットだけではボールを打つことができないからです。
ガットはフレームに張らないと使えませんが、そのフレームがプレイヤーに合っていないと、どんなにガット張りを工夫しても快適に打てる状態にはなりません。
ですから、快適に打てるセッティングを見つけるには、その前に「自分に合うラケット」を手に入れることが必要なのです。
でも、この話はもっと複雑で、ガットだけではボールを打てないのですが、同じ理由で、フレームだけでもボールは打てないので、自分に合うラケットを手に入れるには、適切なガット張りがされているラケットを試打することが必要なのです。
なぜなら、ガット張りが不適切なラケットをいくら試打しても良い状態にはならないので、時間のムダになってしまうからです。
テニスワンのラケットドックには適切なガット張りが施されているラケットが用意されているので、プレーが良くなるラケットが見つかります。Click!↓

GUT LIVEなんて必要ない![広告]
ガットの動きが悪いせいで起こるネットやアウトを、全部自分のせいだと思いたい人には、GUT LIVEは必要ありません。
◇ボールが面からこぼれてネット
ガットが動かないと「食い付き感」が生まれないので、インパクトでボールをつかまえられずにポロッとこぼれてネットすることが多くなります。そう、あの惜しいネットは食いつかないガットのせいで、自分のせいではなかったかもしれないのです。
◇スピンで押さえ込めずに浮いてアウト
さらに、インパクトで動いたガットが戻るときに順回転がかかるので、ガットが戻らないと回転が安定せずスッポ抜けのアウトが出やすくなります。逆に、確実に回転がかかればショートクロスやスピンロブなどが打ちやすくなります。
◇打球の深さがバラバラ
ガットの動きが安定せずに、ボールインパクトで動いたり動かなかったり、戻ったり戻らなかったりすれば、フェースから打ち出される打球の角度が毎回変わるので、その影響で打ショットの深さが不安定になります。

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