集中力の回復に要する時間
集中力の回復に要する時間
先日の日経新聞の脳の働きに関する記事(「脳 知る技 使う心」No4)の中に、車の運転者の注意力の研究のことが書いてありました。
それによると、運転シュミレーターで、前の画面に歩行者が飛び出した時の反応時間が0.7秒だった被験者が、一旦、カーナビ画面に注目してから前を見て、その2秒後に歩行者が飛び出したときの反応時間は0.9秒になったということでした。
さらに、視線を切り替えてから5秒近く経過しないと、その反応時間が0.7秒に戻らないということでした。
同じように前方を注意しているようで、その時の状況によって注意力のレベルには差があるということです。
さらに、注意する対象を切り替えたときには注意力のレベルが低下して、元の状態に復帰するために5秒も必要だということです。
これを読んだときに、ボールへの集中力というテーマに置き換えて考えてみて、ちょっとドキッとしました。
「ボールに集中する」という行為には、「ただ漫然と見ている」というレベルから「穴があくほど見つめる」というレベルまで、その集中度にかなり差があることは知っていましたが、集中力の回復にそれほどの時間がかかるとは思っていませんでした。
一般レベルのテニスでは、サーブが打たれてからリターンするまでの時間は、およそ1秒~1.5秒前後ですので、0.2秒の反応時間の差はかなり影響が大きいといえます。
リターンのタイミングが0.2秒遅れたら、フレームショットか空振りという結果は避けられないでしょう。
私がクラブ仲間とゲームするときは、ポイントのあい間に、お互いに冗談を言い合ったりすることが多いのですが、リターンの準備に入ってからはボールを穴があくほど見つめるようにしています。
でも、それでは遅い!!ということですね。
サーブの体勢に入ってから打つまでに5秒もかかる人は少ないので、リターン側の集中のレベルが回復していないうちにボールが飛んでくるのです。
一旦、ボールへの集中が途切れたら、元のレベルに戻るのに5秒もかかるわけですから、ポイントが決まった後も、常にボールへの集中状態を維持しないとならないわけです。
リターンミスは、その前のつまらないジョークが原因だったのです。
サーブを打つ前に、左手で長いことボールをついているプレイヤーって居ますよね。
あれは、自分の集中を高めるためだと思いますが、リターン側に集中する時間を与えることにもなります。
ということは、自分の集中状態をキープしつつクイックモーションでサーブすることが、リターンミスを誘うことにつながるかもしれません。
私はこれから、ポイントの間にさらっとジョークを言って、相手が笑っている間に5秒間じっと集中する訓練を積むつもりです。
でもその前に、5秒間笑ってもらえるようなジョークのセンスを手に入れる必要があります。