正しいフォームは人それぞれ
正しいフォームは
人それぞれ!?
もっと正確に言えば、誰にでも共通する正しいフォームは存在しないということです。
正しいフォームを身につければ良いショットが打てるようになると考えているテニスプレイヤーはかなり多いと思われます。
そのため、スクールで習っている場合など、コーチの方の言うことに従ってラケットの振り方や重心移動、足の運び方など、言われたことをきちんと実行しようと努力する方が多いようです。
でも、もし仮に、言われたことがなかなか実行できずに、いつまで経ってもうまく行かないようであれば、その時は、自分の運動能力や才能を疑うのはやめて下さい。
もしかするとそれは、もともと取り組むべき課題ではなかった可能性があるからです。
上達へのルートはたくさんある
多くのテニスプレイヤーは、正しいフォームは一つだと考えているようです。
ですから、言われたことができないと、自分の運動能力が低いせいだと思い、その課題をクリアしないと先に進めないと考えて努力を積み重ねることが多いようです。
でも、良いショットが打てるようになることが最終目的地だとすれば、そこに至るルートは一つではなく、たくさんあります。
正しいフォームは一つではないのです。
自分に合わない動きである可能性
正しいスイング、正しいスタンス、正しい重心移動は一つではありません。
人それぞれで、いろいろな正しいフォームがあるのです。
ですから、指示されたことがうまくできなくても、何の問題もありません。
また、複数のコーチが居て、コーチ毎に言う内容が違っていたとしても、「いったい何が正しいのか」と思い悩むのは時間のムダです。
「誰にでも共通の正しいフォーム」というものが存在すると考えるより、そんなものはなくて、人それぞれで正しい動きは異なると考えたほうが、ムダな努力を防ぐことができます。
長いこと取り組んできたのに実行できない動きは、長い間取り組んでもできなかったという理由で、自分に合わない動きである可能性が高いと考えたほうが良いでしょう。
良いショットが打てればそれで良い
テニスは、体操などと違い、身体の動かし方がどんなに素晴らしくてもそれでポイントが取れることはなく、ゲームの勝ち負けに関与するのはボールの動きです。
ですから、テニスプレイヤーが目指すべき最終目的地は、「正しいフォームを身につけること」ではなく「ボールを思い通りに動かせるようになること」です。
良いフォームでなくても、良いショットが打てればそれで良いわけです。
というより、良いショットが楽に打てていれば、その動きが自分にとって良いフォームだと考えるべきです。
一例を挙げれば、テニス界の常識として、フォロースルーを前に大きく振り切るのは良いことだとされています。
でも、その動きでは身体が泳ぐような感じになって、バランスが崩れやすくなる人も居ます。
フォロースルーを小さくしたほうが、うまく打てる人がたくさん居るのです。
重心移動についても、後ろに体重を残したまま打ったほうが威力のあるショットが打てる人も居ます。
そうしたケースでは、テニス界の常識に反しても自分がやりやすいと感じる方法を採用すべきで、それが自分にとっての正しいやり方なのです。
自分に合う打ち方を見つける
良いショットが打てるようになるという目的地に至る道はかなりたくさんあるのですが、どのルートを通っても良いということではなく、自分にとっての正しいルートは1本で、それ以外のやり方は、自分にとっては正しくないやり方なのです。
ですから、良さそうな課題を見つけて片っ端からやってみるというのは危険で、自分に合う打ち方を見つけることがとても大切なのです。
ギクシャクした感じ
正しいルートを通れば、目的地に最短で到達できるのですが、そうでないルートを選んだ場合は、時間がムダにかかるだけで目的地には着けません。
効果的な打ち方については、コーチの指導だけでなく、テニス専門誌などでも連続写真や動画でいろいろ紹介されていたりしますが、すぐにできそうな感じがしないものには、手を出さないほうが安全でしょう。
連続写真を見て、その動きが自分の身体ですぐにイメージできるものは良いのですが、踊ったことのない盆踊りやフォークダンスに初めて取り組むような、ギクシャクした感じになる場合はやめたほうが無難です。
自分の身体が動きやすい方法
長年やってみてできないことに、しつこく取り組むのはやめて、自分の身体が動きやすい方法を探して下さい。
良さそうな課題をいろいろ見つけて手当たり次第にやってみるより、自分にとって正しいやり方を見つけ出すことに時間をかけたほうが、結果的には、上達までの時間を短縮できるでしょう。
力を入れてガツンと打たなくても、身体全体の力がスルッとボールに伝わって打球の威力が増す運動の仕方を探して下さい。
でも、その方法が見つかった時、それを他の人にも伝授しようとは考えないで下さい。
人それぞれで動きは違うのです。
犯罪捜査
急に何のことだと驚かれるかもしれませんが、人の運動特性の話です。
現在の犯罪捜査では、防犯カメラなどで撮影された人の歩く姿を分析すれば、指紋と同じくらいの精度で個人の特定ができるようです。
顔がわからないくらいの不鮮明な画像で、しかも2~3歩で十分ということです。
歩くという最もシンプルな運動でも一人ひとりで個人差があるのですから、ボールを打つ運動に個人差があるのは当然ということになります。
自分の身体の中で効果的な動きを探す
小学校の低学年くらいのジュニアプレイヤーは、その多くが自分本来の動きでボールを打っています。
それは、スイングやフォームについて、あれこれ矯正されることが少ないからなのですが、大人の場合はどうしても、教えられたことを忠実に実践しようとすることが多いようです。
その結果、頭で覚えた動きをやろうとして、自分本来の動きを忘れてしまったり、閉じ込めてしまったりすることが少なくありません。
そのため、正しいフォームで打とうと努力することが、ギクシャクした変な動きで威力のない打球を打つことにつながってしまうのです。
頭で学んで身に付けようとするより、自分の身体の中から「スムーズで効果的な動き」を発見しようとするほうが近道かもしれません。
実はやってはダメな練習課題 | |
ラケットを 早く引く |
身体を早く 横に向ける |
テイクバック でヘッドを下げる |
テイクバック を小さくする |
どんなボールも スピンをかける |
ボールを 押す/つぶす |
大きく フォロースルー |